老人と尻本日は湘南でレッスン。 クラブの駐車場から施設までを徒歩で移動する際、お会いする老人の方がいらっしゃる。彼はいつも「スーツ」を身につけて来館されるので、よく目立つ。尻のクラスには参加しないで、もっぱらスタジオ脇のトレッドミル(ランニングマシン)でゆっくり、歩いている。 普段は会釈はする程度だが、ロッカールームでも隣り合わせになったので、声を掛けてみた・・。 「あの。。何故いつもスーツで来館されるんですか?」 「会社行ってから、来るんですわ・・。」 退職した後も、以前の会社で仕事はさせてもらってるらしい。 流暢な関西弁をしゃべる方だった。 「歩く事は良い事ですよ。人間の筋肉の80%を使うので、体に悪いわけがありません。私の父も脳梗塞で歩けなくなったら、ボケちゃいましたから。是非続けて下さいね」 と言うと、 「脳梗塞ですかあ。。うちの家内も脳梗塞で倒れまして、2年間意識不明なんですわ」 「・・・!」人は見かけによらないもので。。(汗) 2年間の意識不明かあ・・・。 僕の両親は2人とも健在の時いつも、「延命措置はしないでくれ」と言っていたし、僕もそうして欲しいので、考えられなかった。 彼に返す言葉を探しながらも、昔の事を思い出していた。。 父が脳梗塞で倒れて危険な時、とある先輩からこんな激励をもらった。 『息子ができる父親への一番いい治療方法は、自分が頑張って真剣に仕事をする事だ。林君が仕事をキャンセルして、病院に駆けつけた所でお父さんは喜ばないだろう。治すのは君じゃなくでお父さん自身なんだから・・・。だから林君は「俺は仕事を頑張るから、親父も頑張れ!」と祈って仕事に打ち込みべきだよ!自分がひどい状況であればあるこそ、面白いレッスンをつくりあげるべきなんじゃないか』と。 僕自身はこの激励に納得した・・・今でも、このスタイルは続けている。。 彼にはこう言った・・・・ 「奥様が大好きなんですね。いつか良い治療法が見つかりますよ !必ず!一生懸命生きていれば、それが奥様の回復につながります!僕も父の時、そうでしたから。。誰にも分からなくても奥様は分かってますよ!」と、つい偉そうな事を、口走ってしまった。。 彼は照れを隠すように「どうも」と笑っていた。。 その後、クラブから出ていく彼を見つけた。。背中は丸まっているが、男らしかった。。奥様の全快を祈るばかりである。 |